前回までは、人の学習メカニズムについてお伝えしてきました。今回は、学んだことをどうやってあなたの日常に活かしていくのか。どうやって効率的かつ効果的にあなたの学ぶ力を高めていくのかについて、お伝えしていきます。
世の中には、本を読んだりセミナーに行ったりしてたくさん学んでいる人がいます。学びに投資することを良しとして、自分の成長のためにコツコツと努力を続けている人がいます。100万円を超える金額を1つのセミナーに投資する人もいます。その結果、自分の年収を大幅にアップさせたり、家族関係を改善して毎日の幸福度を上げたりして、成長し続けています。
しかし、その投資をした甲斐もなく、全く結果につながらない人がいるのも事実です。何年学んでも、会社内での役職は上がらなかったり、家族関係もうまくいかなかったりして、当初立てた目的を達成できる目途すら立っていない方がたくさんいます。むしろ、その方が多いと感じています。
どうして、そのような問題が生じるのか。どうすれば、そのような問題が生じず、自分が投資した分、いや、それ以上の利を得られるのか。それが今回のテーマです。
学んだだけで終わりにせず、自分の中で活かすためにどうするのか、その型と実践方法をお伝えしていきます。
実践の型:守破離
このブログは、現在第6回目です。いつも読んでくださり、ありがとうございます。ここまでにも、人の学習メカニズムを中心に、多くのことを学んだと思います。
それでは質問です。あなたは、ここで学んだことを、何か一つでも実践していますか?
- なるほど!これからは学ぶ力が大事なのか
- 記憶力って、覚える力じゃなくて思い出す力なのか、知らなかった!
このような感想で終わっているのであれば、残念ながら読んだ意味はほとんどありません。このような知識を持っていない人と何も変わらないです。
冒頭でお伝えした、学んでも結果につながらない人、というのは、そのほとんどが「知って満足している」状態に陥っている人たちです。新しいことを知れてうれしいかもしれません。自分の知らない世界に触れてワクワクしているかもしれません。
しかし、それを実践しなければ、あなたの人生は何も変わりません。むしろ、自分は人より学んで多くのことを知っているということだけで、それを鼻にかけたり、学びにお金を投資している自分は他の人より偉いと思い始めたりします。これでは、見栄を張るために高級車を乗り回しているようなものです。周りの人はあなたが乗っている車に興味があるだけで、誰もあなたには見向きもしません。
また、実践するかどうかを、自分の基準で判断している人もいると思います。
- PCのホーム画面は好きな家族の写真にしたいし、やめておこう
- 感情など勉強にはいらない。ただ黙々とやるのみだ!
このように、今のあなたに合うかどうかで判断するのも、人生が変わらなくなる特徴です。少し考えれば分かることですね。将来うまくいっているあなたと、今のあなたでは、確実に判断基準が異なります。優先順位の付け方も違います。
それにもかかわらず、今のあなたの基準で判断するのは、成功したくないと言っているのと同じことです。同じことをして違う結果を求めることはできません。何かを変えるには、まず頑固さから変えましょう。無駄なプライドから捨てましょう。
そして、実践するときには、とても大切な型があります。「守破離」です。
- 守:言われた通り、何も変えずに忠実に行うこと
- 破:少しアレンジを加えて、自分により合う形に変えること
- 離:自分で新しい型を見出すこと
決して飛ばしてはいけないステップ 「守」
この3つの中で最も大切なことは、「守」です。先ほどから散々お伝えしているのは、この「守」ができない人を待ち受ける将来像です。何かを学んだのであれば、まずは言われた通りに実践することです。何も変えてはいけません。手を抜いても加えてもいけません。忠実に再現することです。
実践する前から、どれだけ結果が分かったような気になっていたとしても、言われたことはそのまま実践することです。それでやっと一歩前に踏み出したことになります。実践すれば結果が出ます。ふりかえりができます。そこで初めて、言われたことを行う必要性を評価できます。行動してから初めて分かることがある、ということですね。
自分に合わせて変えるステップ 「破」
言われたとおりのことができるようになり、それによる結果も評価できてから、次の「破」のステップに入ります。
あなたはこれまで、他のところでも多くのことを学んでいることでしょう。自分で見つけてきたこともあります。「破」とは、それらの学びを活かして、忠実な再現から、1つずつ変えてみることです。
大切なことは、1つずつという点です。小さな1つにしてください。朝型から夜型に変えてみるのであれば、それ以外は何も変えないということです。夜だから勉強内容を変えようとするのであれば、2つ変えたことになります。2つ変えると、何のおかげで結果が変わったのかが分かりにくくなります。うまくいく方法が見つかりにくくなります。だから、変えるなら必ず1つだけです。
また、一度変えたら1週間や1ヶ月など、一定期間続けることです。毎日コロコロと変えても、その日の体調や他の都合に左右されてしまいます。ある程度の範囲で検証してから、自分にあっているかどうかを判断しましょう。それを繰り返すことで、少しずつあなたらしい学び方が見つかります。
人に伝えられる新たな型が見つかる 「離」
そして、自分の学び方が分かってきたという段階で、「離」に進む人が出てきます。誰かに教える側に回りたいと思う人は、このステップに進みがちです。
「離」のステップでは、様々な学びを統合し、他人にも適用可能な形に変換し、科学的にひとつの型を創り上げていきます。科学的というのは、実践する方法が明確で、データが取れ、データを第三者が客観的に評価できる仕組みがあることを指します。自分だけでなく他人も実践してうまくいくもの、実践するために必要となる前提知識や考え方、具体的な実践方法、これらを抜け漏れなく伝えられる必要があります。
つまり、そう簡単にできることではないということです。世の中には、自分がちょっとうまくいったからと言って、すぐに教える側に回ろうとする人がいます。彼らのやっていることは、経験のシェアです。それがあなたにも当てはまる方法とは限りません。そこを理解したうえで話を聞くのは良いですが、実践してうまくいかなかったとしても、決して教えてくれた人を責めないでくださいね。
原則(=常に「守」となるもの)を見つける
守破離のステップで学ぶことは大切ですが、何事もこの守破離のステップで進むわけではありません。
たとえば、守破離を守ることは、いつまで経っても「守」です。破っても離れても良いことはありません。先生に言われたことを守るのか、その意図を守るのかなど、自分の「守」のやり方が変わることはあると思いますが、守破離のステップから離れたわけではないでしょう。
人に親切にするということも、いつまで経っても「守」です。親切の意味が変わることによって取る行動が変わることはありますが、親切にしなくなることはありません。
このように、どうやっても守ることになるものが、原則になります。この原則はあなただけのものもあるでしょうし、万人共通のものもあるでしょう。たとえば僕には、「次の日のテストの内容を覚えきるまで、寝ない」という原則があります。覚え方や取り組む時間は常に改善し続けていますが、前日までに覚えきるという点は変えていません。僕が試験に落ちたことがないのは、この原則を守っているからですが、他の人に当てはまるかどうかは分かりません。3日前に覚えきる人もいれば、もしかしたら覚えきらない人もいるかもです。
自分の中での原則を、たくさん見つけることです。守破離を通して、数多くの変化を起こしていきます。学習面での守破離もあれば、ビジネス、人間関係、体づくりなど、多くの守破離を実践していくことでしょう。
その過程で、あなたはおそらく、自分の成長の類似パターンを見つけることでしょう。これが、あなたにとっての原則です。たとえば、何かを学び始めるときは、本から入るのではなくめちゃくちゃ結果を出している人の話をまず聞く、などです。とにかく行動して見つかった課題を片っ端から解決した方がうまくいく人もいるかもしれません。
この発見が、あなたにとっての学び方に直結します。学び方が分かれば、次に新しいことを学ぼうとしたときに、スムーズにインプットができますよね。とても大事なステップです。
まとめ
今回は、他の回よりは短かったかもしれませんが、内容としては最も大切な点です。あなたの学び方を見つける方法を、ダイレクトにお伝えしました。
僕は、これまで多くの学びに投資しています。ビジネス、人間関係、自己啓発、ITなど、その投資額は500万円は超えるでしょう。その僕が一番最初に投資したのが、「学び方」です。触れた情報を、いかに効率的かつ効果的に自分のものにするか。ここに最初に投資しました。脳科学や心理学含め、自分のものの見方や考え方を変えていく方法を学びました。だから、これまで多額の投資をしてきましたが、それ以上のリターンを得ています。それでも、取りこぼしていたと思うことは多々あります。学んで1年以上経ったときに、やっとあのセミナーで言っていたことの意味が分かったというときもあります。
人生には、非常に多くの変化が起きます。チャンスもあればピンチもあります。しかし、いつそれがあなたに到来するかは分かりません。チャンスをつかむ、またはピンチをチャンスに変えるには、学んだことを活かすしかありません。自分を成長させ続けるしかありません。そのための基礎力になるのが、学ぶ力です。守破離を徹底して、あなたの学ぶ力につながる原則を見つけていきましょう。