自分の行動をどのように変化させれば、あなたの学ぶ力は高まるのか

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前回は、学ぶ力を高め続けるための取り組み方についてお伝えしました。成長するには、日々の取り組みが不可欠です。毎日、毎月、毎年の継続が、大きな力となります。

今回は、「学び方を改善するにも、何を変えれば良いのか」という悩みに答えていこうと思います。僕が塾講師をしていたころ、毎日勉強を頑張っているし、テストの後に振り返りもして次も頑張ると決めて取り組んでいるけれども、なかなか成績が上がらないという生徒を何人も見てきました。彼らは確実に行動しています。成長意欲も人一倍高いです。しかし、思うように結果が出ないのはなぜか。今回はこの悩みの解決につながる考え方を提示していきます。

はじめにお伝えしておきますが、何か行動を変えなければ、結果は変わりません。次のテストで良い点を取りたいと思っているだけでは、いつまで経っても取れるようにはなりません。これは、今までの内容でも散々お伝えしてきた内容だと思います。

しかし、行動を変えるなら何でも良いというわけでもありません。特に良くある過ちですが、結果が出ていないのに、量を増やそうとするのはやめましょう。勉強しても結果が出ない人の特徴の一つは、「1時間の勉強で結果が出なかったから、次は2時間勉強する」というように、結果が出るかどうかを量の問題だと思い込んでいることです。ほとんどの場合は、そもそもどれだけ頑張っても70点までしか取れない学び方をしていることが原因です。

  • テストで出題される範囲を、すべて学習する予定だったのか
  • テストで出題される形式で、解答を作る練習をしていたのか
  • テストで出題される範囲の前提となる知識を、理解していたのか

このような質問をしたときに、すぐにYes/Noを判断できないのであれば、量の問題にするのは待った方が良いです。学ぶ力としては「方向」が合っていなければ、どれだけ量をこなしても、どれだけ早さを追求しても、行きつく先は求めていた場所にはならないでしょう。むしろ、自分のできなさが結果として見えてしまい、学ぶ意欲を失うことになりかねません。

あなたの学び方として変える必要があるのは、量よりも質です。何時間取り組むかよりも、前と同じ時間でどのように取り組むかです。量を変えるのは、結果につながる学び方が見つかってからです。つまり、量は増えるではなく、減っていきます。より効率的に学べるようになれば、同じことを達成するために必要な時間は必然的に減ります。これが、あなたの学ぶ力が高まっていることを示してくれる、ひとつのバロメーターです。

それでは、どうすれば質を高めていくことができるのか、そのために何に注目してどう変えるのか、ここからお伝えしていきます。

学ぼうとしている内容で十分に足りているかを、絶えずチェックする

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あなたが今学んでいること、それは、あなたの目標を達成するために十分足りているでしょうか。

たとえば、英語力を高めようとしている場合。文法と単語の学習ばかりになっていては、いつまで経っても文章は読めないでしょう。長文読解の練習を追加してもまだ足りません。単語を読むにも、発音が正しくできなければ読み間違えや意味の取り違えが頻発します。そのため発音も必要です。発音するためには、まず聞き取れる必要もあります。リスニングも必要です。文法の構造をつかみ、複雑な文章でも素早く読み取れるようになるには、自分でも文法通りに考えて書ける必要があります。ライティングも必要です。

英語の読む・聞く・話す・書くの4技能は、常に補完し合う関係にあります。勉強する科目を減らすために私立を受験するという発想も似ています。学問は本来、互いに密に関連しています。その学問単独で成り立つことは、非常に少ないです。このようなスキルの関連を知らずに、テストでは長文読解しか出ないから、リスニングとスピーキングはいらない。私立は数学がいらないから、学校の数学も聞かない。このような「必要な力を得る機会を逃す」発想を無意識にしていないでしょうか。

このような誤った考えを防ぐには、テストで出題されるかどうかではなく、テストで点を取るのに必要な知識や考え方を身につけるために必要かどうかで、学ぶかどうかを判断することです。テストではない学びであれば、最終評価に直接影響するスキルだけでなく、そのスキルを得るために何が必要かを考えてから、学ぶ内容を決めることです。一見不要に見えるものも、よく考えると必要になる場合は多々あります。

  • 自分は営業だからと、技術面の知識は最低限に抑えておく
  • チームの中で自分の評価を高めるために、議論や交渉で周りに打ち勝つ方法を身につける
  • マネジメント教育として、部下を管理する目的でコーチングやコミュニケーションを学ぶ

これらはすべて、ゴールに対して学ぶ内容が足りていない例です。おそらく、上記以外の学びを取り入れなければ、頭打ちになり、後輩に抜かれたり、チームの中で孤立したりといった、望んでいない結果になることでしょう。そうならないようにするためにも、ゴールに必要なスキルと、そのスキルの獲得に必要なスキルを妥協なく洗い出し、ひとつずつ見つめ直すことです。

この時点では、多くの人は学ぶことが増えることでしょう。あれもこれもやらなければならない、と思い始めることでしょう。しかし、時間は有限です。重要なものから順番に、腰を据えて取り組むしかありません。学ぶ力が高いということは、1つのことを身につける時間は減ります。ただし、学ぶこと自体は増えるかもしれません。自分の仕事以上に他のことを学ぶ時間を取ることもあります。しかし、これらはすべて、あなたのゴールをより確実にするための取り組みです。手を抜かず、妥協せず、必要なことをこなしていきましょう。

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まぐれに振り回されない

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あなたが友達と待ち合わせをしています。その日仕事でバタバタしたあなたは、時間ギリギリで職場を出発し、電車で目的地に向かいました。しかし、駅に着くと電車が来ていません。駅員に聞くと、事故で運行が止まっていますが、もうすぐ再開されるとのことです。あなたは友達に送れる旨を連絡し、運行再開を待って電車に乗り、待ち合わせに20分遅れて到着しました。

今後、友達との待ち合わせに遅れないようにするために、あなたはどうしますか?
続きを読む前に少し考えてみてください。

・・・

・・・(Thinking Time)・・・

・・・

自分なりの答えは出たでしょうか?

「電車のトラブルがあっても大丈夫なように、早く職場を出る」と考えた方もいるでしょう。「予定があるときは、仕事を余裕をもって切り上げる」ことを決めた方もいるかもしれません。「電車を使うとトラブルを予測できないから、自家用車を使うようにする」という少し違った角度から解決策を検討した方もいるでしょう。

しかし、ここで大事なことは、残念ながらどれも根本的な解決策にはならないということです。どれだけ早く出発しても、トラブルに巻き込まれる可能性・遅れる可能性は消えません。仕事を終えようとしたら、大切なお客様から急ぎの依頼を受けるかもしれません。自家用車で移動しても渋滞などの別のトラブルの可能性があります。

ちなみにですが、ぼくはこの問題では「何も変えない」という選択をします。ひっかけ問題のようかもしれませんが、世の中にはこのような「問題のようで問題でないこと」が数多く存在しています。普段生活していると、偶然起きる事柄に巻き込まれ、それが結果として良くない結末になることは多々あります。電車の遅れも仕事の調整もそうです。もちろん、それが何度も続くようであれば避けるための努力が必要かもしれません。大事なときは電車を避けたり、仕事も前もって行動する必要があるでしょう。しかし、単発のまぐれの事象にいちいち構っていては、99.9%はうまくいくかもしれないあなたの成功パターンが崩れてしまいます

実際の社会ではこのような「無駄な”改善”」が多くなされています。あまり言い過ぎると、どこかの誰かに怒られそうなので具体例は控えますが、現実を知らない人ほど、結果だけを見て相手に注意したり、”改善”するように求めたりします。たった一つのショッキングな出来事だけを理由として、他の大量の事例を無視して行き過ぎた対策を求めます。もちろん、予測が足りなかったのであれば対処が必要ですが、明らかにサポート対象外の使い方をされたケースまで保障しろと言われたら、何も作れなくなります。何も言えなくなります。

まぐれの事象のために、膨大な準備をしたり、必要以上に時間の余裕を持ったり、便利なものを撤去したりする必要はないということです。大事なのは、重要なことに注力し、些細なことにはNoを言えるようになることです。

自分がコントロールできる点を変える

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先ほどの電車の例からは、もう一つ学べることがあります。

それは、「自分が予測できる範囲・コントロールできる範囲について振り返る」という点です。いくら時間ギリギリで出発したとしても、予定通り駅に着いていれば問題なしです。そこに電車が来るかどうかは、神のみぞ知る世界です。ここを振り返っても、何も変えようがありません。変えたら次のまぐれに出会って別の問題に遭遇するだけです。

つまり、振り返りには以下の3ステップがあります。

  • 予測しておく必要があったか
  • コントロールできる可能性があるか
  • コントロールできたのか

たとえば、運動会。雨が降るかどうかはコントロールできません。しかし、雨の場合を事前に予測して延期にするなどの対処を用意することはできます。前日までに天気が思わしくないと分かっていれば、延期の判断をすることもできるでしょう。けれども、その判断をじりじりと先延ばしにして、結局運動会を開催したけれども午前11時に雨がひどくなったから中止。運動会はこれでおしまい。と言ってしまうと、生徒や保護者から反発を受けます。

予測する範囲を広げる必要がある場合は、調べたり他の有識者を頼る等の変化が必要です。コントロールできたはずなのにできなかったのであれば、準備の仕方や実際の進め方を変える必要があります。しかし、コントロールできないものは、振り返っても仕方がありません。いつから雨が激しくなるか予測しておくべきだったなど言っても仕方がありません。それなら天気予報士を雇うことになるでしょうが、現実的ではないでしょう。

その時に持っていたであろう情報や事実、リソースをもとに、どう判断・行動しておけば良かったを見つめ直すことで、あなた個人としてできることが増えていきます。あなたのコントロール可能な領域が広がっていきます。それが大きな結果につながります。

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学び方を、自分の得意な形に調整する

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少し例が学び方から外れたような気もするので、話を戻します。

たとえば、他の人から本を読むようにと勧められたとしましょう。あなたはもちろん読書の大切さは分かっています。しかし、本を読むとすぐに眠たくなってしまう人もいます。家に帰っても子育てや家事で本を読む時間を取れないという人もいます。

そのような場合は、別の方法で同じ結果を得られないかを考えてみることです。たとえば、最近では本を読み上げるアプリもあります。YouTubeなどの動画を使っての学習も可能です。これなら料理中など手を離せないときにも使えますし、活字を追うと眠たくなるという人でも続けられるかもしれません。ある程度大きい子どもであれば、子どもと一緒に本を読みながら学ぶこともできるかもしれません。その本の内容をまとめているサイトを先に見てから学習することで、読むスピードが上がってスキマ時間を活用できるかもしれません。

自分にとって学びやすい方法を見つけるというのは、何も時間等の制約があるからするということではありません。人には、自分に合ったインプット方法があります。ある人は見た方が頭に入りやすいと言いますし、別の人は見なくても聞いていれば大丈夫と言います。実際に体験しないと分からないという人もいます。学ぶ内容は誰でも同じかもしれませんが、学び方はそれぞれ違います。動画で学習する人もいれば、音声や読書の人もいます。実際に手を動かして体験する場合もあります。誰もが、見る・聞く・体験するのどれが一番頭に入りやすいか、優先順を持っています。もちろん、どれかを鍛えればより優位になりますし、放っておけば衰えます。自分は何から吸収するのが良いのか、これからは何から吸収できるようになりたいのか、これを考えてみることをお勧めします。

人の学び方をマネしまくる

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最後に、とても大切な学び方をお伝えします。

それは、人をマネることです。守破離の章でもお伝えしましたが、まずは守ること、つまりマネることが大切です。自分よりも良い結果を出している人をマネる。本に出てきた学び方をマネる。過去の自分の成功パターンをマネる・・・。

毎日自分を見つめ直し、取り組み方を変え続けることは大切ですが、自分一人ではリソースは限られています。どこかでアイディアが尽きるかもしれません。しかし、世の中にはうまくこなしている人がどこかにいます。あなたの描くゴールに近い人、もしくはその先を行っている人がいます。その人たちをマネることで、自分にはなかった視点やアイディアが出てくることでしょう。そこからまた自分の形に合わせて変えていけば、あなたにとってベストな学び方が見つかります。

大切なのは、成功している人・尊敬している人からマネることです。決して飲み友達や遊び友達のやり方をマネないようにしましょう。彼らの方が毎日を楽しそうに暮らしているかもしれません。気を抜くと、大変な思いをしている自分が嫌になり、ときには何もかも捨ててラクをしたくなるかもしれません。しかし、彼らのマネはしてはいけません。それは、あなたの基準が一気に下がるきっかけになります。どのような取り組みでもいえることですが、積み上げて成長するのには時間がかかりますが、崩れ去るのは一瞬です。何年もかけて身につけた習慣も、1ヶ月放置すれば跡形もなく消え去ります。常にゴールを意識し、それにワクワクしながら進み続けましょう。その達成後に得られるラクを追い求めていきましょう。

まとめ

行動を絶えず変えていくことは、成長するために必須です。しかし、その変え方を間違えると、変な脇道に逸れていってしまいます。その状態が続くと、いつ道を間違えたのかも思い出せなくなり、元の道に戻るために、長い時間をかける必要が出てきます。

このような結果を避けるためにも、今あなたの目の前にある事実をありのまま受け入れ、そもそも何か問題があるのかから考えましょう。そして問題なのであれば、何が問題なのかを見極め、自分が何をできるかという視点で、次の行動を考えることです。

これを続けていれば、周りが何をどれだけ言ってこようが、取り組む内容はあなたがコントロールできる範囲なので、何の問題もなく続けられるでしょう。大丈夫です。変化の方向を間違えたら戻ってきたらいいだけです。試してみて、合っていれば先に進んでみたらいいだけです。ダンジョンや迷路を攻略していくゲームのように、この改善のプロセスを楽しんでいきましょう。

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