これから年収1,000万円を超えるSEになろうと思っているのであれば、最初にどのような情報に触れるかという点はとても重要です。
ここであなたの進む進路が決まると言っても過言ではありません。最初は最も心に残る経験となりますし、あなたにこれからどのようなハードルが待ち構えているかを知る大切な道しるべにもなります。
IT業界に入ろうとする人は、ほぼ必ずプログラミングを学ぼうとするでしょう。
その際、書店に行ってIT関連の書棚を探しますが、対象の書籍が多すぎて選びきれません。何を基準に選べばよいのか、どの読者を対象にした本を選べばよいのか分からず、静かに書店を立ち去ってしまうかもしれません。
また、もし1冊本を買ったとしても、最初に読む本として適切なものを選べていなかったとしたらどうなりますか。
その1冊を読み切って理解できたから、この業界の仕事は簡単だと勘違いしてしまったら、安易にフリーランスになって仕事を得られずに路頭に迷うことになりかねません。
ここに解決策があります。高単価のSEになりたいのであれば、最初に何を手にするかはおすすめがあります。今回は、どの本を読めばよいのか具体的なアドバイスをしていきます。
プログラミングの本の分類
最近はIT業界に参入しようとする人が増えたため、書店には大量の初学者向けの書籍が売られるようになりました。絵が豊富なものや易しい内容のものなど、数年前と比べると数倍に増えていることは確かです。
その中から最初の1冊を選ぶためには、まずはプログラミングに関する本の分類を知っておきましょう。プログラムの書き方に関する本としては、以下のような分類があります。
- プログラミング言語
Python,Java,JavaScript,C#といった言葉が本のタイトルについていることでしょう。これはプログラミング言語というもので、コンピュータが理解できる指示を出す言語の種類を表します。日本語、英語、フランス語、イタリア語といった分類と似たようなものだと思っておいてください。あなたが英語を学びたいなら英語の本を探すでしょう。それと同じことです。 - 対象読者
初学者向けの本から、プログラミング言語の全体像を網羅的に解説する辞書のように分厚い本まで幅広くあります。 - フレームワーク
プログラミング言語と誤解している人もたまにいるのが、フレームワークです。PythonであればDjango、JavaScriptであればReactやNextといった言葉が本のタイトルになっています。これらは、その言語でシステムを作る際によく使う処理をテンプレートとして用意してくれている開発キットのようなものと理解しておいてください。レゴに例えると、プログラミング言語は個々のブロック、フレームワークはお城セットや恐竜セットなどの、個別に作りたいもの向けにカスタマイズされた部品が入ったセットのようなものです。実際の業務でもフレームワークはよく利用するため、フレームワークから学び始める人もいます。
どのプログラミング言語を選べばよいのか
プログラミング言語は、様々な種類が複数あります。また、時代によっても流行があります。
初めにお伝えしておきますが、高単価エンジニアになれば、言語はどれでもできます。知らない言語であっても、そのプロジェクトに入れば自力で学んですぐに使いこなせるようになります。今選ぼうとしているのは初めに学ぶ言語であって、いずれはどれも関わることになるというのは覚えておきましょう。
その前提で、初めに学ぶ言語はJava,C#,Python,JavaScriptのいずれかをおすすめします。
この4つの言語は、あらゆる開発現場で使われていて、汎用性が高いスキルが身につくことが主な理由です。近年流行しているPythonやJavaScriptはよく選ばれていますし、JavaやC#といった少し古めの言語ではありますが、今でも大手企業や大規模プロジェクトでは好んで使われる言語です。
ただし、2つ注意点があります。
1つ目は、すぐに業務で別の言語を使う必要がある、プログラミングを教えてくれる人がこの言語が良いと言ってくれた、など別の理由がある場合は、迷わずそちらを選択してください、ということです。いきなり2つの言語に手を出すのは、時間的にも学習効率的にも効果的とは言えません。どの言語にするか迷ったらというぐらいの選択肢として持っていてください。
2つ目は、ご自身の使用しているPCがWindowsかMACかを確認してください、ということです。本を買っても自分が持っているPCとは違うPCを対象に書かれていたなどという悲しい結末にはならないよう、本を選ぶ際には注意しましょう。
対象読者が誰向けの本を選べばよいのか
近年は初学者向けの書籍が大量に書店にあふれていますが、あなたが最初に選ぶべき本は初学者向けの本ではありません。書店にある本の中で、最も分厚い本を選びましょう。
言語について詳細な解説をしてくれている辞書のような本です。書店に積み上げているものではなく、1冊しか置いていないような本かもしれません。ほこりをかぶっているかもしれません。それでも、その1冊を手に取りましょう。
理由は、あなたがどのレベルを目指しているかということにあります。
正直言って、年収1,000万円を頂けるようなSEになるには、とてつもない努力が必要です。簡単になれるわけがありません。この業界に入ろうかどうか迷っているというような状態では、目指すのはやめた方が良いでしょう。その覚悟の判断基準としても、このような分厚い本を1冊用意することが重要です。
最初から本の内容をすべて理解しろとは言いません。半分も理解出来たら十分です。
しかし、この分厚い本を読むのが無理、抵抗があるというのであれば、年収1,000万円をもらえるSEにはなれないでしょう。途中で挫折するのが目に見えているので、最初から手を出さないことをお勧めします。
反対に、何が何でもなってやると思うのであれば、初学者向けの本では物足りません。
業務で使う本当に大切なことがごっそり抜け落ちています。このような本では、学んだ気になってすべてできる気になって、自分は優秀だと思い込んで大恥をかくのがオチです。知らない世界が存在していることも知らなければ、学びようもありません。
分厚い本であれば、プログラミング言語の奥深さの存在は知ることができます。存在理由も使い方も全く分かりませんが、それで良いです。とにかく読んで、自分が目指す位置を知りましょう。
どのフレームワークの本を選べばよいのか
プログラミングの初学者には、フレームワークの本はあまりお勧めしません。もしどうしても欲しいのであれば、言語の解説本とは別にもう1冊として用意することをお勧めします。
フレームワークはとても便利です。私もよく使いますし、どのプロジェクトでも大体使います。
ただし、フレームワークから学び始めた人が総じてハマる落とし穴は、「なぜ、この書き方でプログラムが動くのかが分からない」ということです。
これは、非常に怖い状況です。ビルの建設に例えれば分かると思います。
10階建てのビルが出来上がったのを見て、あなたはその設計士や建設現場の人に聞きます。「このビルはどうして崩れずに建っているんですか?」「なぜ鉄筋なのですか?」と。それに対して「とりあえず建ったから良いのでは?地震が来たら知らないけど。」「え、よく分かりません。木造でも問題ないのでは?」という返事を受けたらどうでしょうか。そのビルであなたは働けるでしょうか。
ITエンジニアには、このようなことを平気で行う人がたくさんいます。そして、彼らは総じて中途半端なスキルでとどまり、そこから抜け出せずにいます。「なぜ」を理解できていないからです。
年収1,000万円を超えるSEがそのような姿勢では、プロジェクトが破綻してしまいます。
どうしてもあなたに大きな責任がかかりますし、日々数多くの判断・決定を下すことにもなります。プロとして深い理解を持ったうえで自分の仕事をこなすためにも、初めはフレームワークの手を借りずにプログラミング言語を学んでいきましょう。
まとめ
まとめると、Java,C#,Python,JavaScriptのいずれかで分厚い本を1冊用意しましょう。ということになります。
特にこの独習シリーズは、各言語の深いところまで解説がしっかりしていて、これから学び始めるあなたにとっては、教科書として長く付き合っていける本だと思います。
書店に行けば、さらに何冊か候補が見つかることでしょう。あなたが読みやすそうなものを選べばOKです。ただし、決してこっちの方が簡単そうなどの自分のレベルを下げるような基準での選択はやめましょう。
最初がとても肝心です。良いスタートを切れるように、良い本と巡り合えることを心から応援しています。
次は、プログラミングの勉強の仕方に関するアドバイスです。