SEとして活躍したいのであれば、ITスキルだけではやっていけないということはご存知だと思います。
しかし、どのようなスキルが必要かと言われると、網羅的に列挙することが難しいこともまた事実でしょう。論理的思考力、コミュニケーション能力、発想力・・・。どれも重要です。
また、仕事の進め方や物事の捉え方など、スキル以外の生産性、人間力、価値観などと言われる部分も大切だと言われています。
私も同感です。どれも大切だと考えていますし、日々の仕事でこれらの能力・スキルが重要だと感じる場面はたくさんあります。
しかし、すべてを現場の経験で学ぶには時間がかかりすぎますし、どうなれば成長していると分かるのかがはっきりしないので、ずっと不安が続くでしょう。
そこで今回は、このような力を身につけるためにぜひ読んでおきたい本をご紹介します。私自身がこれまで数百冊の本を読んできた中で、内容の深さと具体例も豊富さを基準に選んでいます。
スキルに関する本であれば、まずは型や分類を知ることです。そして現場で型どおりに実践していくことで、着実に成長していくことができます。分類に合わせて対処法を身につけていくことで、あなたが活躍できる場面を増やすことができます。
考え方であれば、知っているかどうかの違いだけです。新しい物の見方を知るだけであなたの世界は広がります。
スキル・能力の型や分類を丁寧に説明してくれている本
どんな問題でも、考える手順は同じである
IT業界は今までにない物を生み出す仕事が中心で、毎日答えのない問題に取り組むことになります。
この本では、あらゆる問題を解決する際の思考手順が紹介されています。この本の手順に沿って仕事上の問題に取り組むだけで、安定して高い成果を出せるようになるでしょう。
「考える」にも、やり方がたくさんある
IT業界は他のすべての業界に関わる仕事をします。扱う仕事の多様さを考えると、思考方法として1パターンしか持っていない人は、どうしても顧客から安心して仕事を任せてはもらえません。
この本では、さまざまな状況で使える実践的な思考ツールを紹介してくれています。著者は、水平思考の専門家としても有名な方ですね。
人がどの意見を採用するかには、理由がある
顧客や同僚と会話している際、どうすれば相手がこちらの意見を聞き入れてくれるのか?
この悩みを抱えるSEは多いです。ITスキルがあってもうまく伝えられなければ、ITスキルはないも同然です。
この本を読めば、相手に伝わる並外れたパワーをもたらす要素が何か?が分かります。
意思決定は、いくら会議を重ねても合理的ではない
チーム内でのシステム構成の検討会や顧客とのレビューの場で合意した意見であっても、後から思えば、なぜそのような結論に至ったのかを論理的に説明できないシーンに遭遇したことがあるかもしれません。
この本では、人の意思決定に至る脳内のプロセスが説明されています。このプロセスを意識的にうまく活用することで、理性的な下せるようにもなるでしょう。
上司が風見鶏だと言われるのには、理由がある
以前と同じような状況なのに、以前とは違う判断を下す上司に苦しんでいる方は多いでしょう。上司の機嫌が良い時を狙うために下準備をしている人もいるかもしれません。
この本を読めば、あなたは状況に左右されずに適切な判断を下せるようになるでしょう。
PDCAを高速で回し、天井知らずの成果を上げる
仕事を始めると、PDCAを回すようにと言われることは多いです。実際このフレームワークを使いこなすだけで、圧倒的な成果を出せる人にもなります。
この本では、PDCAの回し方や実践方法が解説されています。分かったつもりになっている方も、一度学び直してみることをおすすめします。
失敗した理由が分かれば、着実に成長していける
誰もが失敗から遠ざかろうとしています。しかし、失敗をしない人はいません。だからこそ、失敗から学ぶ方法を身につける必要があります。
この本では、失敗の原因とそこから学びを得て次につなげる方法が開設されています。IT業界はミスを減らすことが重視される業界です。SEとして活躍するためにも、読んでおきましょう。
ものの考え方、捉え方を丁寧に説明してくれている本
今のシステム構成は、この考え方を起点としている
マイクロサービスや分散アーキテクチャという考え方がIT業界に広まっていますが、それらの原点ともいえる考え方が提示されている本です。
実際、GoogleやAmazonを紹介している本の中でも関係者が触れている内容ですし、技術書でも「アンチフラジャイル」といった言葉で紹介されています。
なぜ分散管理するのか、その理由をしっかり学んでおくことで、より正しく分散できるようになるでしょう。
どのようなキャリアを歩めば良いのか
近年、IT業界は非常に人気です。業界が伸びそうとか今の仕事が嫌だとかいう理由で転職する人もいるぐらいです。
しかし、本当に活躍する人には共通点があります。あなたがSEとしてこの先楽しく豊かに働いていきたいのであれば、この点を持っているかどうかを確認しておくことはとても大切なことです。
この本では、学歴も経験も関係なく、いつの間にか成功してしまう人の共通点が紹介されています。
マネジメントの時代は終わった
SEの仕事はチームで行います。最近ではGoogleのチームを参考にする日本企業も出てきていますが、なかなかうまくいっていないのが現状です。
まだまだマネジメント主体のチームを抜け出せていません。
この本を読めば、メンバーが各々自律的に働き、得意なところで活躍し、非常に高い生産性をチームを作るにはどうすればよいのかが分かります。
人にも組織にも、成長のステップがある
わがままだった子どもが周りに気づかいを示す子に変わるように、人も組織も成長するにしたがって多様なモノの見方を受け入れられるようになります。しかし、多くの人はいきなり高い次元になることを求め、無茶をして失敗してしまいます。
この本では、人や組織の成長ステップが順を追って説明されています。今の自分の次元と次の次元を知ることで、何に取り組めば成長していけるかが分かるでしょう。
いかにして、圧倒的な成果を出し続けるチームを作るか
チームという言葉を「1部門」「1案件」という意味で使っている会社は多いでしょう。しかし、それではいつまでも圧倒的な成果は出せません。
メンバーが主体的に、互いを尊敬しあって働くチームを作り上げるには、どのような働きかけをすればよいのか、どのようなルールを設ける必要があるのか、この本では丁寧に解説されています。
自分のチームや会社を働き甲斐のある場にしたい方は、読んでおきましょう。
圧倒的な「質」を出す人の考え方、仕事の進め方
著者は投資家ですが、IT業界と投資は似ている業界です。どちらも、いかに失敗を最小限にし、成果を最大限高めるかが重要な判断基準となっています。
その中で圧倒的な成果を出す人は、どうやって自分や組織の質を担保しているのか、どうやって成長し続けているのかが、この本を読めば分かります。
とても分厚い本ですが、今後のあなたの成長曲線に大きな影響を及ぼすでしょう。
良い結論とは、シンプルなものである
分かりにくい説明、顧客に伝わらない資料、誰も使ってくれないマニュアル・・・。これらに共通して言えることは、「シンプルではない」ということではないでしょうか。
この本には、どうすればシンプルにできるのか、シンプルさがなぜ大切なのかが説明されています。どうしても機能の追加ばかりして時間が足りないと嘆いてしまう方は、ぜひ読みましょう。
まとめ
ここで紹介した本は、SEとして現場で働くうえで必要となるスキルや考え方が身につく本ばかりです。
IT業界にいる人は、ほかの業界よりも本を読む傾向はあります。しかし、本当に残念なことですが、ここで紹介したような「技術書以外の本」をしっかり読んでいる人は少ないです。
だからこそ、これらを継続的に学び実践し続けることで、あなたはITスキルだけでなく人間的な魅力も高まり、結果的により自分の望む形に合ったキャリアを描けるようになるでしょう。