同じ過ちを徹底的になくし、必ず次につなげる振り返り方

pdca 効率的に学ぶ
  • 今日は全然勉強時間が取れなかった
  • 最近、何かがうまくいっていない
  • 反対に、今日はなぜかうまくいった

このようなときに要因を考えて次につながるアクションを考え出すのが振り返りです。

システム開発の現場でも、振り返りはプロジェクトやフェーズの切れ目でなされます。また、PDCAは社会人として必須と言われるスキルであり、毎日寝る前に振り返りをして次の日に臨んでいるという方も多いと思います。

しかし、良い案が出なかったり、何回も同じ過ちを繰り返したりすることもあるのが振り返りでもあります。これが続くと、「振り返りをしても結局次が変わらないから意味がない」と判断されて、振り返り自体がなくなるプロジェクトも多々あるぐらいです。

それでは、どうすれば次につながる振り返りを行えるのでしょうか?
今回は、その点についてお伝えできればと思います。

振り返りをする目的

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次につなげるとはどういうことか

振り返りをする目的は、「成功の再現性を高めるため」です。間違えを正すことを目的としている振り返りが現実には多くありますが、それは誤りです。

何が異なるのかというと、「うまくいったことの要因も考える」という点です。

間違えを正すことを目的としている場合、振り返りの場は欠点から会話が始まります。それに対して、再現性を高めることを目的とした振り返りでは、良かったことから会話が始まることもあります。

成功の再現性を高めるためには、両方とも振り返ることが大切です。

最も避けるべき経験は何か

  1. 意図して成功した
  2. 意図せず成功した
  3. 失敗した(原因不明)
  4. 失敗した(原因は分かっている)

次につなげることを考えた際、この4つのうちで最も避けるべき経験はどれでしょうか?

答えは、2番です。
1番は、次につなげられる成功体験です。続けることで成功し続けられると確信できます。
3番と4番は、失敗したという経験によって深く振り返る対象となります。原因を明確にして対策を立て、はっきりと次につなげるアクションが考え出されます。

では、なぜ2番が最も問題になるのかというと、「振り返りの対象になりにくいから」です。
次うまくいくか分からないにもかかわらず、振り返りの対象とならない経験が、最も危険性を含んでいるということが分かると思います。

これらの「成功してしまった体験」を表面化させるためにも、振り返りは間違いを正すだけでなく、成功率を高めるための場にしていきましょう。

反省点を正しく見つけ出す

振り返りの目的を踏まえたうえで、次は反省点をどのように見つけていくかを考えていきましょう。

ここでは、成功した理由を考えることも含めて反省点として扱いますので、両方の体験を考慮に含めてください。(振り返りの対象となるもの=反省点ぐらいの感覚でとらえてください。)

細かい間隔で反省点を探す

たとえば、振り返りが2週間に1回ある場合。その打ち合わせの直前に反省点を探してしまいます。しかし、それでは良い反省点は見つかりにくいです。

人の印象に残りやすいものは、ピークの経験と最後の経験だと言われています。学生時代のことを思い出すと、一番面白かったことと最後の瞬間を思い出す人が多いということです。

しかし、本当に大切なものはそれ以外にもたくさんあります。
本当にちょっとした点でも大きな意味を含んでいる経験はあります。このような経験をできる限り漏らさずに反省点として取り上げるためにも、気になったことは都度メモをしておき、振り返りの場で共有するという癖をつけましょう。

今持っているリソースから判断しない

たとえば、コロナウイルスが猛威を振るいだして緊急事態宣言が出された時。
テレビで多くの飲食店がインタビューを受けていました。その中で、「もっと早くテイクアウトを始めていればよかった」ということを反省点を上げている店長が何人もいました。

残念ながら、これは反省点の出し方としては正しくありません。なぜならば、コロナ前にテイクアウトを始めようと判断できる要素がないからです。

後から思えば、こうしておけばよかった。ということは多々あります。しかし、これを振り返りの反省点としても意味を成しません。実際に判断が必要だったときに持っていなかった情報をもとに出された反省点だからです。

このような場合は、反省点ではなく「前提」として話を先に進めるしかありません。緊急事態宣言が出されたこの状況を前提として、次どうするかを考えるしかないということです。

この判断を誤って、いつまでもテイクアウトを始めておけばよかったと言っていても、何も進みません。判断を誤らないように注意しましょう。
振り返る際は、その時に持っていた情報や感情、状況をもとにどう判断・行動したらより良くなっていたのかを見つめ直しましょう。

自分が気になったことをピックアップする

こんなことを書いたら怒られるんじゃないかと思って、胸の内にしまい込んでしまう人は多いです。しかし、そのちょっとした違和感は、他の人も感じているかもしれませんし、他の人が気づいていない点かもしれません。

ワンマンプレーのプロジェクトリーダー的な立場の人がいる場合は、特にこのような反応が見受けられます。振り返りをしても当たり障りのない意見ばかりで、全然議論も深まらずに終わる場になってしまうことも多々あります。

もちろん、声を上げるのは勇気が必要ですが、少しでも気になったのであれば声をあげましょう。また、チームメンバーとしても、他の人が取り上げた反省点を頭ごなしに否定するのではなく、何でも言える雰囲気を作ることが大切です。

褒めることも忘れずに

次につなげるために、改善点がありそうなことばかり取り上げる振り返りもありますが、これでは長続きしません。精神的に窮屈な振り返りは、次第に意見が出にくくなってしまいます。

そのため、人がうまくいっていることや自分がうまくいっていることも積極的に取り上げましょう。一つの完成形としての成功体験を共有するという意味でも価値はありますし、周りから褒められると人は前向きになれるものです。

人は、誰かに褒めてもらえると嬉しいものです。それが続くと、より積極的に自分の意見を言えるようにもなっていきます。誰かのことを褒めようという文化があるチームは、そうでないチームと比べてより柔軟な発想に基づいた意見が出やすくもなります。

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改善策を正しく見つけ出す

反省点が見つかれば、次に行うことは改善策の検討です。
どれだけ価値のある反省点を見つけたとしても、ここで間違えれば次の成功率が上がることはありません。最後まで気を抜かずに考え抜きましょう。
そのために必要となる考え方を説明します。

具体的な行動を提示する

振り返りをしていると、改善策としてよく出てくるものは以下の2点です。

  1. 現状の作業順を見直すもの
    例)信号を渡る前に、左右を確認する。
  2. 意識や考え方を見直すもの
    例)横断歩道を渡るときは、車に気を付ける。

どちらも改善策のように見えるかもしれませんが、質が全く異なります。

1つ目の改善策は、ほぼ必ず次につながります。
「同じことをして違う結果を望むことができない」という名言もありますが、この改善策は行動を少なくとも1つは変えることになるため、必ず次につながります。

それに対して2つ目の改善策には注意が必要です。先ほどの例のように、気を付けることが明確な場合は問題ありませんが、以下の場合はどうでしょうか。

コーディングで誤字や脱字が多いから、誤字脱字をしないように気を付ける。

このように比較されると、この改善策が用をなさないことが分かると思います。何をどのように気を付けるのかがはっきりしていないため、結局行動が変わらずに次につながりません。

  • コードを1行書いたら見直しをする
  • 単語は極力コピペをしてタイプミスを減らす

このような具体的な行動を示すことで、次につながる改善策になります。

「いつ」の視点を明確にする

たとえば、毎回お客様との打ち合わせ時間内に話したいテーマを話しきれない場合。振り返りの反省点としても上がってきますが、改善策としてよく出てくるのは「テーマの時間を区切って会話する」というものです。

これはぱっと見は良い案のように見えますが、実際はうまくいきません。お客様との打ち合わせになれば、話が盛り上がって話を切ることを忘れてしまうからです。

この改善策が用をなさなくなる原因は、改善策を行うきっかけがないからです。いつ、この改善策を行うのかが分からないと、必要なときに使うことができません。

1つのテーマの話が始まったタイミングでタイマーをスタートさせて、タイマーの音が鳴ったら話を切る

この改善策で、必ず次につながる振り返りになります。

このように、改善策はいつ、何を、どのようにするのかという点を具体的に出すことが大切です。5W1Hを明確にすることと同じですが、とくに曖昧にしてはならない点を取り上げました。

行動の追加は何かを減らすこととセットにする

たとえば、リリース作業でミスが続く場合。1人で作業するとミスをするから2人以上で作業をする。それでもミスをするから作業と確認の2ステップに分ける・・・

このような改善策をまじめにやっているプロジェクトは多いです。しかし、これは時間という有限な資産を浪費することにつながりかねません。

1日は24時間しかありません。時間は有限です。何かを追加するということは、同じ時間分だけ何かを削ることを必ず考える必要があります。

改善策を行っている姿をイメージする

よくある誤りは、改善策が机上の空論・絵に描いた餅になっているという場合です。とても良い言葉が並んで素晴らしい改善策のように見えるけれども、実際には実行に移せないという案もたくさんあります。

寝る時間とご飯を食べる時間以外は勉強をする

典型的な絵に描いた餅ですね。無理です。このようなことを言っている間は、いつまで経っても勉強時間が増えずにダラダラと時を無駄に過ごすことになります。

案出しをする段階ではどんな突拍子もない案でも問題ありませんが、どの案を採用するかを決める段階では実行している自分の姿をはっきりとイメージできる案を選びましょう。現実的な案を選びましょう。

まとめ

効果と効率の両方を最大化する具体的な選択肢を、その時持っていたであろうリソースをもとに導き出すこと。
少し長くなりましたが、これが次に必ずつながる振り返りです。毎日、これをチェックリストとして使いながら振り返っていきましょう。

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