社会人3年目のSEに求められるレベルとそれに合った数値目標設定

3 理想の働き方へのキャリアステップ
こんな方におすすめ
  • SEの3年目は、2年目や4年目と何が違うのか分からない
  • 自分のスキルが、他の同期や他社の3年目の人と比べてどうなのか不安になる
  • より高いチャレンジ目標を立てて、さらに上を目指したい

たしかに、自分が良いペースで成長できているのかどうかは不安ですよね。

とはいえ、自分の課題を目標にしようにも、どうやって数値目標として表現するのかが分からずに目標を決めきれないでいるかもしれません。

そこで今回は、3年目のSEを対象にして、求められるレベルとそれに合った数値目標(サンプルあり)をご紹介します。

IT未経験から大手SIerの入社し、4年連続でトップ評価を取った私から見た「3年目のレベル」の標準レベルと高評価を取れるチャレンジレベルをお伝えします。

3年目に求められること

step up

3年目のSEの役割

システムエンジニアになって3年目という時期は、自分の業務やプログラミングスキルを駆使して、ある程度の非定型業務もこなせるようになり始めた頃です。先輩に任せてもらえる仕事も徐々に難易度が増し、作業だけでなく考えることや決めることも自分の役割になっています。

また、新入社員に対する研修の講師や、自分が得た知見やスキルを部内に発信する機会も徐々に増えてきます。後輩のOJT担当となる場合もあるでしょう。あなたの背中を見て、あなたのようになりたいと言う後輩も出てきているかもしれません。

ただし、3年目はまだ上司による最終判断が必要な場合が大半です。
客先に少人数で常駐する、顧客との打合せを主導して要望をヒアリングする、自分で考えて検討してある程度の結論を出すことはできますが、最終的な決定には先輩のサポートが必要です。

このような3年目SEに求められるレベルの主なイメージは、以下です。

3年目SEに求められるレベル(技術力)
  • IT知識
    スペシャリスト資格レベルの知識をいくつか保有している
    最新のITツール・技術を自分の仕事に応用できるかどうかを検討できる。
  • プログラミングスキル
    トランザクションやレスポンス、セキュリティ等、言語によらない知見もあり、最適な手法を選択できる。
    オブジェクト指向、デザインパターンを理解し、応用できる。
    複数の言語を扱うスキルを有している
  • 開発・保守作業
    詳細設計を指示のもと作成できる。新規のプログラムも作成可能。
    非定型の保守の問合せを受け付け、既存のプログラムを調査して原因の特定と対処ができる。
3年目SEに求められるレベル(社会人スキル)
  • コミュニケーションスキル
    部内全体への情報展開や、顧客・他部署・部課長との調整も行える。
    後輩や委託先の進捗管理を行い、仕様の共有や指示を適切にできる。
  • 非定型の業務への対応力
    自分の仕事の納期を予測し、仕事量や働き方を自分で調節できる。
    QCDの意識を常に持ち、自分の仕事の成果を最大化できる働き方の型を持っている。
  • ドキュメント作成
    顧客や部内へのプレゼン資料を適切に作成できる。
    設計者や作業指示も、誰でも分かるように一意の文章で作成できる。

簡単に要約すると、3年目は「自分で考えて仕事をできる。設計から開発まである程度できる。他者との情報共有、調整もできる」状態が望ましいということです。

3年目にもなって基本的なスキルを保有しているかどうか不安というのは、正直言って恥ずかしいです。まだ基本情報も取得していない場合は、ぜひ取得することを推奨します。3年目であれば、応用情報を取得していてもおかしくないレベルです。
資格勉強に抵抗がある方、暗記に苦手意識がある方は、以下のノートがとても頼りになります。
私もこのノートのおかげでIT未経験ながら入社後すぐに基本情報、半年後には応用情報に合格できました。

様々な点で「差」が出始める頃

3年目にもなれば、コミュニケーション能力、仕事の進め方、技術力も社会人1年目のときよりは段違いに成長しています。

しかし、人によってスキルや能力の差がはっきりしてくるのもこの頃です。
上司から言わせると、「使える/使えない」「チャレンジをさせたい/チャレンジさせるのはまだ早い」という思いが出てくるのがこの頃です。

自分の力で出来ることも増えてきて、知識だけでなく経験も増やして対応力・適応力を伸ばしていきたいタイミングですが、それをできるかどうかは、良い仕事を担当させてもらえるかに大きく依存します。

  • あの人はしっかり開発出来てはいるけれども、いつまで経っても仕事のスピードが上がらない
  • ドキュメントを作るのが早いのは良いけれども、誤字脱字や用語の統一などの基本的な観点が欠けてい読み手に勘違いを生んでいる
  • たくさん残業して頑張っているようだけれども、かけた時間が成果につながっていないように思える

大きく成長する機会を得るには、3年目らしい能力・スキルを得ることで満足せず、もっと上を目指し、その姿勢を示すことも大切です。

3年目にとって必要なスキルは、普段の仕事の中で高められていきます。
どの仕事でも求められた基準以上の成果をどこかで残せるように、日々自分の仕事の進め方を振り返って改善していきましょう。

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3年目の数値目標例

3年目に求められるレベルを踏まえて、半期や年度の目標としてどのような文章になるのかの例をご紹介します。

3年目の標準レベルの目標とその上のレベルにつながるチャレンジ目標を記述しています。
自分の達成度合いに従って適切に目標設定をしてください。

スキル観点

QCDの観点
  • Quality
    標準作成した詳細設計の指摘件数を、〇件以内とする
    標準後輩のプログラムをレビューし、品質に関する指摘件数を〇件以上する
    チャレンジ開発に必要なツールを作成し、チーム全体の開発工数を〇h削減する
  • Cost
    標準中級エンジニア想定で作成された予定工数以内の時間で作成を完了する
    チャレンジ中級エンジニア想定で作成された予定工数の7割以内の時間で作成を完了する
  • Delivery
    標準自分で立てた予実を誤差1割以内にする
使用している技術の観点
  • 資格取得
    標準IPAのスペシャリストの資格を取得する
    標準ベンダー資格の応用レベルを取得する
  • 技術力
    標準オブジェクト指向を踏まえてチーム内の共通部品を開発する
    標準デザインパターンを使った開発を行う
  • 学習の継続
    標準○○に関して理解した内容を教育資料としてまとめてチームに共有する
    チャレンジ自身の効率的な開発方法や仕事の進め方をチーム・部署内に共有する

業務観点

プロジェクト業務
  • プロジェクトでの作業
    標準ベンダーや後輩の管理を予定工数以内の時間で行う
    チャレンジ自身でベンダーの選定や面談を行う
  • プログラミング以外の知識・理解
    標準自身が携わっている業務のアーキテクチャ構成(DBやネットワーク、サーバー構成)の内容と意図を説明できる
    チャレンジテーブル設計・基本設計を上司の補助のもと実施する
  • 非定型作業
    標準非定型の保守作業のうち、〇割のタスクを上司の補助なしで行える(作業誤り件数を〇件以内とする)
    チャレンジ顧客の問合せを受けてから結果を報告するまでの一連を、〇割すべて一人で行う
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社会人スキル観点

社会人スキル
  • コミュニケーションスキル
    標準部署全体・社内全体への情報共有を担当し、誤りなく共有する
    標準開発担当者への仕様説明時のすれ違い・伝え漏れを〇件以内にする
  • 資料作成、プレゼン
    標準社内でのプレゼンの場でプレゼンターとして話す
    標準顧客との打合せ資料の準備・会議の進行を担当する
    チャレンジ顧客との打合せ内で仕様上の重大な指摘・問題提起を〇件行う
  • 後輩の育成
    標準後輩のプログラムをレビューしてオブジェクト指向や言語に関わらない知見(トランザクション、セキュリティなど)を教え、後輩が指摘されずにできるようになる
    チャレンジ社内の新人教育の場で講師として指導する

まとめ

3年目のチャレンジ目標は、一人で仕事を完了させるだけでなく、自分が得たノウハウを部署・社内に共有することに変わります

正直、3年目でここまでできる人は少ないでしょう。まだ人に指示できるとは思えないというのが標準です。
しかし、その中でも自分に出来ることも少しずつ出てきていると思います。出来ることからで良いので、社内・社外に発信したり他の年次の人と交流して知見を広め合ったりして、全体に貢献できる人になっていきましょう。

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