ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
この章では、まとめとしてこれまでお伝えしてきた内容を振り返りながら、あなたの生活に活かしていく方法を探っていきましょう。
学ぶ力とは、ゴールの達成に必要なスキルを身につける力
まずは、学ぶ力が何かについて学びました。学ぶ力とは、あなたのゴールを達成するために、必要なスキルとそれを獲得するための勉強方法と勉強量を、過不足なくリストアップできる力です。そして、その獲得を早く成し遂げる力です。
テストであれば、出題範囲から必要なスキルは分かります。仕事であれば、技術面だけでなくコミュニケーション力や、いわゆる人間力も必要になるでしょう。健康やお金に関する知識も必要になります。これらをどのレベルまで獲得するのか、そしてどうやって獲得するのかを明確にできれば、あなたの取り組むことが決まります。
取り組むことが決まっている人は、達成までが圧倒的に早いです。すべてのエネルギーを同じ方向に向けることができるため、脇目を振らず一心不乱に突き進むことができます。
ただし、たまには方向が合っているかを確かめる必要もあります。少し進んで向きを合わせる、また少し進んで向きを合わせる・・・。この繰り返しが、あなたのゴールの達成につながります。
また、行動するときにはできるだけ早く結果を出せるようになることです。今の時代、1週間経てば世界は変わっています。1カ月先のことなど予測できません。このような状況でのんびりしていては、何かを達成したときには、すでにそのスキルは不要な世の中になっているかもしれません。それぐらい変化のスピードは速いです。
そのため、方向が決まったのであれば、その達成をできるだけ早くできるように、学習のスピードを上げていく必要があります。
この意味で、学ぶ力とは方向を合わせたうえで、できるだけ早くそのゴールにたどり着ける力です。方向と早さ、これが学ぶ力のキーワードです。
学ぶ内容によって、方向と早さのどちらに重心を置くかが決まる
方向を合わせる力と早く達成する力。これらは、学ぶ内容によってどちらがより重要かが決まります。
簡単に言うと、やることがはっきりしていれば、スピード重視。何をやればいいのか分かりにくければ、方向重視です。
学ぶ早さを上げたいのであれば、資格や試験の勉強に合格しましょう。暗記の練習も効果的です。極力少ない学習時間で合格することです。学ぶ早さが高まれば、早く失敗して早く修正できるようになります。結果として早く成功できるようになります。
方向を合わせる力を上げたいのであれば、人間力や仕事の評価などの必要なスキルが分かりにくいことに取り組みましょう。自分で仮説を立てて取り組み、都度修正しながら学ぶことになります。また、資格や試験の勉強でも、自分の基準を上げれば方向を合わせる力を得られます。いつも70点ぐらいであれば、90点取る勉強方法を考えてみることです。試験本番と予想の得点がいつも大きく乖離するのであれば、そのずれをなくすための準備方法を考えてみることです(テスト前日に、誤差5点以内で当日の得点を予測できるようになれば、ほぼ確実に合格できますよね)。
方向と早さは、学ぶ内容やその取り組み方を変えることで、様々な形で鍛えることができます。どの学びもスキルを得ることだけでなく、学ぶ力を高めるための取り組みにも変えていくことで、あなたの達成スピードが上がるでしょう。
自分に合った学び方を見つける
学ぶ力を高めるためには、自分の学び方を変えてみることです。その変え方として、脳・体・心の仕組みをお伝えしました。
「これらの仕組みを活かせる方法はないか」と考えることで、あなたの学び方が向上します。学び方を改善しようと案を探しているときは、何度も各章に戻りましょう。
また、自分でも脳・体・心の仕組みを学び続けることです。今はたくさんの書籍で多くの点が解明されています。脳科学、心理学、哲学、健康、運動・・・。各分野のエキスパートが研究結果や独自のメソッドを紹介してくれています。それらをどんどん試して自分に合うものを見つけていきましょう。
このような、あなたのゴールや必要なスキルに直接には結びつかない学びが、あなたの基礎を固めてくれます。世の中には、勉強はできるけれども社会では活躍できない人が山ほどいます。彼らは、ゴールに直結する学びだけを取り入れているため、社会で活躍するために必要な基礎力への投資を怠っているのです。反対に、基礎を固めていれば、どのような仕事・環境でも一定の成果を出し続けることができます。どこに行ってもうまくいく人は、このような基礎固めを長年し続けています。
目の前の必要だけでなく、自分の基礎固めへの投資も、時間を取って行っていきましょう。
学び方を変えるときは、守破離とPDCA
自分に合った学び方を見つけていくには、今の学び方を変える必要があります。
ただし、やみくもに変えればよいというわけではありません。
あなたには達成したいゴールがあります。そのゴールに向けて方向がずれている点をどのように修正するのか、ここが、一番に考える必要のある点です。PDCAでいうところのP(Plan)です。
そして、Planはさらに具体化させ、あなたが今すぐ変えられることが明確になるまで落とし込みます。数値で測定可能かもしれません。期限のあるPlanかもしれません。取り組む内容によってPlanの立て方も変わりますが、最終形は同じです。「新しいPlanを達成するには、あなたが今すぐ取り組むこと(Do)が明確だ」ということです。ここでも、方向が合っていることが重要ですね。
Planが決まれば、次はDoです。ここで大切なことが、「守破離」でした。まずは決めたことを忠実に守りましょう。いつまで経っても達成できない人は、Planを立てただけで満足し、結局Plan通りにDoせず机上の空論を語り続ける人です。このような虚しい日々を送るのはやめにしましょう。立てたPlanに従って、忠実に行動することです。何か違うなと感じたとしても、しばらく続けてみる方が良いこともあります。そのあなたの感覚が、今までのあなたから来ているのか、Planを達成したあなたから来ているのか、しっかりと見定めましょう。そこから破・離の段階へと進みます。
行動すれば、次に行うことはCheckです。方向が合っているか、前よりも早くPlan達成に近づいているか、この2点を欠かさず確認しましょう。理想的には毎日振り返ることをお勧めします。毎日B5ノート1ページ分、びっしり振り返りで文字を埋めれば、見えてくることがあります。人は、頭の中で考えているようで実は考えていません。同じところを堂々巡りしていることもあります。書くことで脳が刺激され、思考が進みます。頭に浮かんだことを書き続けるだけで、新しい発想が芽生えます。
また、Checkの段階では、自分のコントロールできる内容に注力することも大切でしたね。他人を変えることはできません。テストで求められる基準を変えることもできません。変えられるのはあなたのこれからの取り組みだけです。この点をどう変えていけば、より方向が合うか、より前よりも早くPlan達成に近づけるか、しつこく考え続けましょう。
そして、次のActionを決めて取り組みます。PDCAサイクルを回し続けることで、あなたの学ぶ力は少しずつ高まっていきます。1カ月や2カ月程度では、変化はあまりないかもしれません。しかし、半年、1年、10年続けた後には、去年の自分とは比べ物にならないぐらいに成長しています。以前と同じ問題に対して別の取り組みをできるようになっていることでしょう。もしかしたら問題とさえ思わなくなっているかもしれません。以前は半年かかって解決していたのが、1カ月で済むかもしれません。残りの5カ月で、さらに新しいことに挑戦できます。どんどんステップアップしていけます。
このサイトの内容を続ければ、このぐらいの大きな変化を得られることでしょう!
学ぶ力は、どこまででも高められる!
「人は、1年でできることを過大評価し、10年でできることを過小評価する」
僕の好きな言葉です。1年後の目標を立てるときは大きな目標を立てますが、10年というと、急に今の延長の未来を描き始めます。
また、人は継続が苦手です。毎月5万円を貯金に回せば、10年後には600万円になるのは分かっているのに、どうしても使ってしまいます。人は、長期でものを考えるのが苦手ということです。
だから、ちょっと取り組んで高いハードルにぶつかると、すぐに諦めて別の道を探し始めます。しかし、新たに見つけた道も前の道と難易度は大差ないです。そして別の道を探し続ける結果、何歳になっても何も身につかず、大したスキルも得られないまま、年齢という越えられない壁に遭遇し、大きな後悔に苛まれることとなります。
しかし、そこで諦めてはいけません。年齢、性別、学歴・・・すべて関係ありません。気づいた時が、スタートです。もっと前からやっておけば良かったということは多々あります。しかし、悔いても仕方ありません。失った時間は取り戻せません。できることといえば、これから時間を失わないようにすることだけ、つまり、今すぐに行動を変えることです。日々をなんとなく過ごすのではなく、学ぶ力を高めるためにどうするかを考えながら過ごす。本を読むとき、テレビを見るとき、風呂に入るとき、ふとしたときに自分の日々を振り返ってみる。目の前のことから何か学べないかと探してみる。
このような細かい取り組みが、あなたの明日を変えてくれます。そして、継続することであなたのゴールが近づきます。
学ぶ力は、高まり切ったという状態がありません。いつまででも高まり続けます。レベルアップし続けられます。僕がこの連載を書いている間も、僕の中での学び方は変わりました。より早くゴールにたどり着けるようにもなりました。方向のずれにもっと気づくようにもなりました。結果として、仕事もさらに順調になり、より健康になり、お金の心配も減っています。家族や友達関係もさらに良好になっています。
これまで、学ぶ力を10倍に高める方法をお伝えしました。もちろん一瞬で10倍に高めることはできません。地道な努力が必要です。しかし、その努力の方向性が分かったのであれば、あとは行動するのみです。あなたの学ぶ力も、大きな可能性を持っています。その可能性を信じて、今日から新たな取り組みをスタートしましょう。1年後振り返ったとき、あのとき自分に投資しようと決断してよかったと思えるために。
この連載が、あなたの学ぶ力の向上に貢献できたのであれば、ぜひ、他の方にも広めていただければ幸いです。