多くの人は、子どものときから20歳前後まで長年学びを重ねています。社会に出る準備として、10年以上の期間を通じて、基礎知識や学問を修めます。
しかし、社会に出た途端に状況は一変します。答えがなく、明確な点数として自分の実績が評価されない状況に放り出され、これまで培ってきた正解が急に分からなくなります。これはどの大学を出たかは関係ありません。このような状況で上手く立ち振る舞う人もいますが、多くの人はどうして良いか分からず、会社の求めることを信じて行い続けますが、「また新しいことが出てきたらどうしよう」という疑問が頭から離れず、何かが違うと思いながら日々を過ごすことになります。
一方、このような悩みが少ない人もいます。プロのスポーツ選手はそのひとつです。彼らは幼い時からずっと同じスポーツに明け暮れます。学生の間もスポーツに明け暮れ、結果を出してプロに行きます。そして、プロに入ってからも同じ基準で評価され続け、現役引退までの時間を過ごします。
ただし、プロのスポーツ選手も引退した後のことには悩むかもしれません。実際、引退したスポーツ選手がその後どうなったのかを見れば、飲食店や投資を始めて失敗する例が後を絶ちません。彼らは、スポーツについては一流かもしれませんが、ビジネスや投資の世界で求められる評価基準を知らないからです。他の多くの会社員と同じように、どうすればうまくいくのかと悩み始めることになります。
ここでお伝えしたいのは、あなたの人生において、評価基準は一つではないということです。評価基準が変われば、どうすればうまくいくのかという方法も変わります。
そして、これからの時代、この「評価基準の変化」は、あなたの人生に幾度となく訪れることになるでしょう。今までは学校を卒業後、一つの会社でずっと働くことが普通でした。評価基準が変わるのは、社会に出るときの1回だけです。
しかし、これからはそうではありません。転職は数回、数十回も普通になることでしょう。あなたの今いる業界がなくなることもあり得ます。あなたの得意なことは機械化・IT化され、次のスキルを見つけないと放り出されるかもしれません。
このような変化への対応力を高めて、挑戦の成功率を格段に上げてくれるのが、学ぶ力です。
今まで、たった1回しか起きなかった評価基準の変化。この変化にさえ苦しんでいたのに、これから何度も同じような変化を経験すると考えると、どれだけ苦労するか想像がつくでしょうか?
やっと一つできたと思ったときには、すでに評価されなくなっている。そのようなことが続く仕事人生を楽しめるでしょうか。
逆に言うと、この変化を楽しみ、いち早く流れに乗って結果を出せるようになれば、あなたの未来には、どれほどの可能性が広がるでしょうか?
これまで無理だと諦めていたことに、自信をもって挑戦できるとしたら、10年後、5年後、1年後はどう変わっているでしょうか。
- あなたは、10年後もその仕事で第一線で活躍できますか?
- 今までの常識を覆す変化を、柔軟に対応してチャンスに変えられますか?
- 新しくやりたいことが見つかったときに、それを実現する道筋を描けますか?
学ぶ力とは
学ぶ力とは、ゴールの達成に必要なスキルを身につける力です。
たとえば、大学合格を目指して勉強している高校生がいる場合、ゴールは大学合格です。そのゴールの達成に必要なスキルは、「英語で偏差値60、数学で偏差値70」などの具体的な結果を安定して出す力です。そして、学ぶ力とは、「どうすれば、英語で偏差値60を安定して取れるようになるか」「どうすれば、数学で偏差値70を安定して取れるようになるか」を明確に把握する力です。明確に把握するとは、何をどれだけの量、どれだけの期間をかけて勉強すれば良いのかが、数字で出せるということです。
つまり、英語で偏差値60を取るには、「毎日英単語を1日30語ずつ15分かけて暗記するだけで良い」と言えるかどうかということです。それで足りないのであれば、長文読解を追加したり、1日30語では足りないなら増やす、逆に多いなら減らす、ということを、根拠を持ってできる力のことです。
ここまでお伝えして、社会に出たときに評価基準が変わって悩むのはどういう人かが分かると思います。このような人は、学ぶ力を鍛えるということをほとんど行っていません。
彼らが学生時代に行ってきたことは、スキルを高めることです。どうすればスキルが高まるのかを考えず、とりあえず量をこなしてがむしゃらに努力し、よく分からないけど結果が出たり出なかったりする試験結果に一喜一憂しています。彼らは社会に出ると同時に、学生時代に行っていた学び方を捨て、その時々で違う方法で勉強します。資格を取る際も、過去問をやれば受かると聞けば、過去問しかやらず、後は運に任せる。仕事で必要なスキルが出てきたときは、また学生のときのように勉強しないといけないと言って、苦痛だと嘆き続かなくなり、結果スキルを得られずに停滞します。
一方、学生の間に学ぶ力を鍛えている人は、社会に出てからも同じ学び方をしながら改善を重ねます。資格を取る際も、過去問をやれば受かると聞いたとしても、しっかりとテキストを買って対策して学生のときと同じやり方で学びます。仕事で新しく必要になったスキルも、同じ学び方が適用できるかを見極め、それを応用しながら前に進んでいきます。結果、常に成長してビジネス的な成功を収めます。
学ぶ力がいかに大切か、あなたがいかに学ぶ力を疎かにしてきたかを分かっていただけたかと思います。
学ぶ力の高さは、方向と早さで評価する
それでは、学ぶ力が高い・低いは、どのように評価するのでしょうか。
結論としては、「以前の自分よりも早く目標に近づいているか」です。正しい方向に、より早くで進めているかどうかが、学ぶ力を評価する方法です。
たとえば、あなたが東京から大阪に旅行に行く場合。より早く着くにはどうすれば良いかというと、鈍行よりも新幹線、新幹線よりも飛行機を使えば早く行けますよね。どの方法を選ぶかで、事前に準備するものが変わったり、かけるコストが変わったりします。
しかし、早さだけを求めていてもうまくいきません。新幹線に乗ったとしても、それが東北新幹線だったらどうやっても大阪には着けません。早ければ早いほど、間違えたときに戻る距離も大きくなります。だからこそ、正しい方向に向かっているかを確認することも大切です。大阪に向かって移動しているのか?直線的に行きたいけど、大きな山があるから迂回した方が良いか?ということも考えます。
勉強で言うと、1カ月前は1時間で50語しか覚えられなかった英単語が、100語覚えられるようになっていれば、早さが増しているということです。高校生だけれども、中学英語の身についていないからそこから勉強する必要があると気づいたのであれば、方向を合わせられたということです。
そして、ここが大切なポイントですが、学ぶ力の高め方は人によって違います。あなたに合った方法があります。あなたの周りには、あなたより学ぶ力が高い人がいるかもしれませんが、その人のやり方があなたにピッタリ合うとは限りません。ただし、その人以上の結果は自分でも出せると思い直すことはできるので、人の学ぶ力を観察するのはとても大切なことです。自分が飛行機に乗っているつもりが実は軍用機に乗っている人もいたのか!と気づけることでしょう。
参考 僕の学ぶ力
最後に、参考として僕の学ぶ力が現状どのぐらいかを提示します。
- 1カ月あれば、英語・日本史・生物・現代社会の全範囲を暗記してセンター試験で90点を取れます
- ITの新しい技術も、1年働けば日本トップレベルのスキルを身につけます
- 資格試験は、受ける前に何点で合格できるか数点の誤差で予測できます
大事なのは、一度の結果ではなく再現できることです。学生のときも、この単元はすんなり頭に入ってきたという経験があったと思います。しかし、どの単元も確実に頭に入る方法を分かっている人は少ないです。「いつも、以前よりも早く目標に近づける自分であり続けること」、これが学ぶ力を持っているという証です。
そして、あなたの学ぶ力の高め方は、もしかしたら一般的にはお勧めされていない方法かもしれません。論理的なつながりが全く見えないものが影響しているかもしれません。たとえば、僕の場合はコツコツ覚えるのではなく一夜漬けの方が自分には合っています。夜型で睡眠時間を削ります。リビングで勉強はできません。技術の勉強はいかに脇道にそれるかを大事にしています。
あなたにとっての最善の方法、あなたの学ぶ力を高める方法は、これからお伝えしていきます。次の記事もお楽しみに!