前回は、これからの時代に求められる「学ぶ力」について説明しました。
人生に何度も訪れる大きな変化に柔軟に対応しながら、どんどんステップアップしていくこと、そしてステップアップのスピードを上げるには、学ぶ力の方向と早さを向上させることの大切さを学びました。
ここでは、自分が確かな学ぶ力を得られていることをどうやって確かめるのか、という話をしていきます。
あなたは、これまで多くのことを学んできたことと思います。
学校の勉強、家事、育児、仕事、人との話し方、飲み会との上手な付き合い方・・・。うまくいったこともあれば、まだうまくいっていないこと、今後も向上させることなどがあるでしょう。
ただし、ここで大切なことがあります。それは、学び方の発揮の仕方です。実は、取り組む内容で学び方は大きく変わりますし、伸ばせる力も異なります。方向を合わせることが大切な学びもあれば、早さを大切にする学びもあります。
ここからは、学ぶものによって、どう学び方を変えていくのか、学び方のどのようなポイントを伸ばせるのかをお伝えしていきます。
学び方は、学ぶものに「求められるスキルの明確さ」と「スキルの獲得手順の明確さ」によって変わります。
必要なスキルも獲得手順も明確
おそらく、「勉強」としてあなたが一番最初に取り組んだことは、この種類の学びです。
学校の勉強、資格の勉強は、ほとんどすべてがここに入ります。
たとえば、英語のテスト勉強。どのようなスキルがテストされるのか、誰もが分かっています。英語を日本語に、日本語を英語に訳すことができればOKです。出題範囲も明確で、取り組むことも明確です。学校で習った範囲を暗記し、適度に応用できればOKです。
このような学びは、テストの実施日が決まっています。勉強できる期間も多くは決まっています。得点という形で、明確に結果が出ます。合格ラインは定まっているか、上位何名かの定員制かのどちらかです。テスト範囲が発表されてから、求められる基準もしくは一緒のテストを受ける他の人よりも多くのことを理解し、覚えきった結果、良い得点を得ることができます。
そのため、このような学びに求められることは「早さ」です。どう学んでも方向はほとんど間違えません。量をこなせば結果にはつながります。しかし、そこで量ばかりに頼るのではなく、早さ、つまり質を高めて量を減らす方法にこだわることが求められます。
また、自分の学び方がより良くなっているのかを客観的に評価しやすい学びであることも事実です。「何日間勉強した結果、何点を取れたのか」で自分の学び方を評価できます。
必要なスキルは明確だが、獲得手順が分からない
次の学びは、獲得手順が分かっていたものの先にあるものです。
学校でトップになる、試験に確実に合格する、メジャーリーガーになる、などあなたの学び方が高い結果につながるようにするにはどうすればよいか?ということです。
ここに関しては、それまでの学ぶ力を求めてこなかったかもしれませんが、大人になってからやっておけば良かったと思う方も多いです。学校での成績はそこまで求めていなかったかもしれませんが、社会に出たらもっと活躍したいと思う人も少なくありません。その時に初めて、学校にいたときにもっと勉強しておけば良かったと思うものです。
しかし、このブログ全体でお伝えしていることですが、あなたがしておけばよかったことは勉強ではないですね。勉強のやり方を勉強しておけば良かったということになります。
このように、必要なスキルは明確だが、獲得手順が分からない学びは「早さメイン、時々方向」ぐらいのバランスがちょうど良いです。
基本的には進む方向は間違えません。しかし、学び方を何度も何度も変えることになるため、たまには方向があっているかを確認しないといつの間にか違う方向に進んでいるかもしれません。
また、この学びを追求することで、別の効果も得られます。学び方を何度も変えつつより良い結果を出せるようになるということは、「この学び方であれば、何時間の勉強で何点になる」や「テスト前日にこのぐらいの理解度であれば、明日のテストで何点取れる」ということが分かるようになります。
試験や資格で思うように結果を出せるようになると、新しいことを学び始めるときに、予定通りのステップアップを実現できます。最短で資格を取ったり、英語や会計など仕事で必要になったスキルもパパっと身につけられるようになります。
その結果、ビビらず前向きにチャレンジできるようになります。会社で「来期から海外行ける?」と急に聞かれた際に、今の英語力が乏しかったとしても、ためらわずに「OKです」と言えるかどうかを判断できるようになります。チャンスをものにできる可能性が広がりますね。
必要なスキルも獲得手順も分からない
一番難しい学びは、この類いです。
コミュニケーションスキル、ビジネススキル、育児など、スキルとしては大きく括られがちですが、細かい例で言うと
- 仕事で出世したいけれども、どういう力がついていたら出世できるのかが分からない
- 営業の成約率を上げたいけれども、何が足りていなくてその力をどうつけたら良いのかが分からない
- 子育ての正解が分からず、子どもにどう接したら良いかが分からない
などが当てはまります。
あなたがこれまで知らず知らずに身につけたスキルもあるかもしれませんが、ふと思い返すとどうやって身につけたか分からなかったり、改めてスキルを高めようと思うと、どうしたら良いのか、そもそも何を学べば良いのかが分からなくなるものです。
このようなスキルを学ぶとき、「とりあえずここから学び始めよう」「とにかくたくさん練習しよう」というように、すぐに行動を始める人がいますが、学び方としてはあまりお勧めしません。
ここで大切になるのは、「方向」を合わせることです。とにかく行動することが大切だという人がいますが、初めに自分が進む方向を定める必要があります。どこに行きたいのかも分からないまま行動しても、うまくいっているのかどうか判断できません。「うまくいっている状態」が定義されていないからです。そのために人に話を聞いたり、本を数冊読んで全体像をつかんで方向を仮でも良いので決めることが大切です。
その後、決めた方向にパパっと進んで、また次の方向を決めたり、決めていた方向を変えたりしながら、より進みたい方向へと向かっていきます。
たとえば、仕事で出世したいのであれば、方向を合わせるために何ができるでしょうか?
上司に聞いてみる、社内の評価制度から自分の得意と苦手を見つけるなどして、方向を合わせることができるかもしれません。その過程で、個人としては上手く仕事をできているけれども、チームで動くことができていないと分かったのであれば、もう一段階、深堀です。チームの中でどのような動き方が求められているのかを考えます。リーダー、サポーター、飲み会に行かないことが評価に響くのか・・・など、たくさんキーワードが出てきますね。そこから目的に近づく確率の高そうなものから試してみましょう。
大切なのは、方針を定めてから動くことです。そのため、「とりあえず」や「まずは」という言葉に逃げることをやめましょう。誰も答えを持っていません。分からないまま進むしかありません。しかし、どこに進んでいるかは意識しておく必要があるということですね。
まとめ
あなたの学ぶ力は、方向と早さで評価できます。しかし、その力を正しく使わなければ、せっかく早く進んでも結果につながりにくい状況になる可能性があります。
この学びは方向を合わせることが大切なのか、それとも早さを発揮しても良いのかを常に見定めながら、今どちらに舵を切るのかを決めていきましょう。そうすることで、あなたの学ぶ力は安定したパフォーマンスを発揮しながら、目標の達成へと突き進むことができます。